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特殊掘削技術

傾斜掘削とは

石油井などを掘削する場合はロータリー掘削によって目的とする地層に対して垂直に掘ることが通常ですが、例えば目的とする石油層が海の下または河の下にあって垂直に掘るのみでは対応できない場合、傾斜掘削という掘削技術が用いられます。

掘削の方法としては、まず井戸を垂直に掘削してから、少しずつ傾斜角度を大きくしていき、目的の傾斜と方位に達したら、それ以降は直線で掘削する、という方法を取ります。

傾斜掘削を行なう際の目的は、上記の目的とする層の真上に掘削のリグを設置できないといった事のほか、経済的な理由で1つの坑井から多数の坑井を掘削するため(特に海洋掘削の場合が多く該当します)などがあります。

傾斜掘削を進めるには高度な掘削技術が必要ですが、既存の坑井基地から遠く離れた目的層に到達させることができる技術なので、新規に坑井基地を建設するよりも経済的に得られるメリットが大きくなります。

なお、掘削技術的には傾斜角度が45°程度までは特別問題はありませんが、この角度よりも大きくなると掘削屑が排出しにくい、また掘り進めるためのビット先端への荷重(通常はドリルカラーの垂直方向の重みによって得られる)が得にくくなる、といったことがあります。

これらの問題はMWDと高トルク方ダウンホールモーターのなどの新技術の開発によって60°程度までの傾斜掘削が可能となりました。

傾斜掘削の角度をさらに大きく取り、上記の掘削技術上の問題を解決した掘削方法が、後述の水平掘削(水平掘削)となります。

<参考文献:社団法人石油学会 PETROTECH 2005年12月号、土木技術21巻6号>

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